この記事では将棋の元プロ棋士・加藤一二三九段のエピソードをまとめています。棋士を引退してからはテレビにも数多く出演されており、話題となりましたが、実はとてもすごい方なんです。そんな”ひふみん”こと加藤一二三先生のおもしろエピソード、対局中の奇行や猫好きエピソードをご紹介します。
目次
”ひふみん”こと加藤一二三とは?
- 本名:加藤一二三
- 生年月日:1940年1月1日
- 出身地:福岡県
- 師匠:剱持松二
- 将棋:居飛車党
加藤一二三九段は14歳7ヶ月という当時、最年少の若さで将棋のプロ棋士になりました。
この14歳7ヶ月という記録は藤井聡太先生が14歳2ヶ月という最年少記録を作るまで約50年間破られなかった記録です。
そして、18歳でA級棋士となり、この18歳A級は藤井聡太先生でも破ることができなかった大記録。
数々のバラエティー番組に出演されていますが、加藤一二三先生は”神武以来の天才”と称されるほどの天才棋士なんです。
しかし、そんな天才の行動は凡人には理解できないもの…。
某棋士が加藤先生をこのように紹介していました。
「ちょっと行動がアレですが、いえ、かなりアレですが、なんとまぁ元名人です」
それでは”ひふみん”こと加藤一二三先生のおもしろエピソードをご覧ください。
”ひふみん”こと加藤一二三九段のエピソード「一途」
大食漢としても知られている加藤先生ですが、対局中の食事には毎回「うな重」を注文されていました。
現役時代40年間以上ずっと「うな重」を注文。
「うな重」一択だった理由としては、食事についてどれを食べようかと悩まなくて済むため、事前に…というかいつも「うな重」を頼むようにしているとのことでした。
ちなみに昼はウナギ2枚の「竹」夜はウナギ3枚の「松」だったそうです。
このようにかなり一途な加藤先生は将棋の方も現役時代はずっと「棒銀戦法」を採用。
羽生先生曰く。
「どんな時でも棒銀戦法でやってくるのはすごいというか…もはや不気味でした」
勝っても負けても、うな重と棒銀。
前日うな重を食べていても、うな重と棒銀。
勝率が3割になっても、うな重と棒銀
加藤一二三九段はこのように言われています。
「棒銀が弱いんじゃないんです。私が弱いんです」
一途と言えば、恋愛も一途な加藤先生。
奥様とは自身が20歳の時に結婚され、もちろん別れることもなく、ずっと過ごされています。
ちなみ奥様は中学の同級生で、対局で忙しかった加藤先生にノートを取ってくれたのが今の奥様のようです。
最後の対局となった2017年6月、引退が決まると、予定されていた引退記者会見をすっぽかして家に帰り、奥様に引退が決まったことを真っ先に告げたそうです。
加藤先生が引退記者会見をすっぽかしたので、当時の理事だった鈴木大介先生は代わりに謝罪会見を行いました。
うな重のエピソードが出ましたのでついでに加藤先生の食事エピソード一覧を以下に掲載しておきます。
食事エピソード
- 対局中のおやつに板チョコを10枚完食。それも数枚まとめてバリボリと…。
- 王位戦の昼食に「寿司にトマトジュース、それにオレンジジュースとホットミルク、天ざる」を注文し、三時のおやつには「メロンにスイカ、ホットミルク三杯にケーキとモモ」を注文する大食漢ぶり。
- 十段戦で、米長永世棋聖とミカンの大食い決戦が勃発。記録係が「ミカン臭くて死にそうです」と助けを求める。ちなみにミカン合戦に負けた米長が勝負にも負ける。
- 対局の夕食にはカキフライ定食とチキンカツ定食をダブル注文して対戦相手をビビらせる。その伝説は囲碁界にまで響き渡った。
- みかんゼリーを10秒で平らげる。
- 負けたら引退がかかっている対局でも、チーズを持ち込んで食べまくる。
- 魔法瓶2本を持ってきたと思ったら、中身はカルピスで、もちろん全部飲み干した。
- 中原とのタイトル戦で加藤はケーキを3つ注文。中原は加藤、中原そして記録係の三人分を頼んだのだと思っていたが、そのまま加藤がケーキを3つ全部食べた。
”ひふみん”こと加藤一二三九段のエピソード「長考」
加藤先生は、どんな局面でも常に最善の一手を考えるため、持ち時間がすぐになくなります。
さらには六手目に2時間近い長考をしたこともあり、他には最大で一手に7時間を掛けたこともあります。
残り時間が1分になってからも記録係に「あと何分?」と聞くのは有名な話です。
それで「1分だよ!!」とキレた記録係がいたとか…いなかったとか…。
以下が加藤先生の対局エピソード一覧です。
対局エピソード
- 駒音高く駒を盤に打ち付けるため、飛車を割ったことがある。
- 熱心なキリスト教徒のである加藤先生は、対局中でも賛美歌を歌う。対局中に対局室のある4階から5階にあがり、賛美歌を歌いながら神に祈りを捧げる。
- ネクタイが異常に長い。
- 相手の後ろにたって盤面を覗き込む、いわゆる”ひふみんアイ”を使用。その時、長いネクタイが相手の後頭部に垂れて相手がびっくり。
- ストーブを対局室へ持ち込んで、対局者のほうに向けて対局開始。「顔が熱くなるからやめてください」と怒られる。
- 旅館の滝を止めた。
- 秒読み中でも「あと何分?」と聞くひふみん。
- 他人の対局でも「あと何分?」と聞いてしまったひふみん。
- 解説では、解説せずに一人で納得し沈黙。
- エアコンの音が気になるので消そうとしたら、間違えて部屋の照明を落とす。
- 当時の三浦七段と冷房のスイッチ、オン・オフ合戦。
- 感想戦で二歩をした。
”ひふみん”こと加藤一二三九段のエピソード「猫」
「ハロー。君達も、将棋に興味があるのかい?」
これは加藤九段が雨宿りをしていた野良猫たちに放った挨拶です。
愛猫家としても有名な加藤九段ですが、NHKで「ひふみんのニャンぶらり」という番組までやっていました。
ですが、問題になったこともあるようで…。
加藤九段が近所の野良猫たちにエサを与えていたところ、野良猫が大量発生したことありました。
そのことで、餌付けしていた加藤九段は近隣住人から訴えられたことがあります。
後になってわかったことですが、加藤九段は野良猫にも関わらず自費で不妊去勢手術を受けさせていたそうです。
その結果最大で18匹もいた野良猫たちは2匹にまで減り、野良猫たちの里親探しまでしてあげていたたとのこと。
猫好きには悪い人はいない。
そう信じたいものですね。
ひふみんエピソード「熱心なキリスト教徒」
ひふみん「私は棋士ですが、このたびは騎士にもなりました。ヴァチカンに事件でも起きれば白馬にまたがってはせ参じなければいけません。」
加藤九段は地方の対局に出掛ける時には、必ず近くに教会があるかどうかを調べて行くぐらい熱心なキリスト教徒として知られています。
30歳でキリスト教の洗礼を受けた加藤先生。家族も全員キリスト教徒です。
対局中に賛美歌をハミングを歌ったり、バチカンから「聖シルベストロ騎士勲章」受章したり、敬虔なカトリック教徒のため「一分将棋の神様」と呼ばれるのが嫌で、「一分将棋の達人」と呼ぶようにと懇願したエピソードがあります。
ちなみに洗礼名は「パウロ」です。
ひふみんエピソード番外編
「ひーちゃんうるさいよ」と言われるほど、子供の頃からお喋りだった加藤一二三九段。羽生先生とは2時間ずっと喋っていた一方で、森内先生とは1時間一緒にいて一言も喋らなかったとか。