圧倒的な強さを誇っている藤井聡太先生の強さの秘密に読み方の違いがあります。
それがプロ棋士でも理解できないと言われている”符号読み”です。
脳内将棋盤ではなく、棋譜の符号で瞬時に読んでしまう藤井聡太先生の能力とは!?
符号読みのスピードと弱点を解説している記事です。
脳内将棋盤とは
まず、はじめに脳内将棋盤について解説します。
脳内将棋盤とは頭の中で想像した将棋盤のことを言います。
将棋で”読み”を入れている時というのは頭の中でこの”脳内将棋盤”を使い、駒を動かしている状態のことです。
棋力が高ければ高いほど、脳内将棋盤の映像は鮮明でクリアなものになると言われており、プロ棋士のレベルになると、脳内にはっきりと将棋盤が映像化されているそうです。
そのためプロ棋士にとって目隠し将棋は朝飯前なんですね。
有名な棋士で言うと、三浦弘之九段なんかはよく斜め45度上の空中を眺めながら考えていますね。
あれはおそらく脳内将棋盤を使って読んでいる時だと思われます。
ちなみに、棋士の先生方曰く、脳内将棋盤には色があって、グレーとか青とか、人によって違う色をしているそうです。
プロ棋士レベルになると脳内将棋盤に色までつくんですね。
藤井聡太の符号読み
ある程度、将棋が強くなると脳内将棋盤で読むのが普通なんですが、藤井聡太先生は脳内将棋盤を使わないんです。
藤井聡太先生は”符号”で読みます。
8三玉、7三角成、同玉、8一銀打、4六角打、7二銀成…。
このように将棋の符号だけで指し手を読みます。
符号読みをすることは実際に藤井先生がインタビューで答えていました。
符号で読んだあとに脳内将棋盤を使って形成判断や最終調整を行うそうなんですが”符号読み”って正直理解できないですよね?
これはプロ棋士でも理解できない読み方なので仕方ないと思います。
どうしてそうなったのかは定かではありませんが、藤井聡太先生は子供の時、詰め将棋を解く際にノートに答えを符号で書き記していたこと。(詰め将棋を解いた数は1万を軽く超えるそうです)
そして、将棋ソフトが読み筋を符号で出力(提示)するからだと思われていて、子供の時から、将棋ソフトで将棋の研究をしていると、脳内将棋盤ではなく、符号だけで読めるようになったのかもしれません。
圧倒的に早い符号読み
藤井聡太先生は符号読みをすることで、あのような異次元とも称されている読みのスピードを実現できるわけです。
斎藤慎太郎先生曰く「僕の3倍は早い」とのこと。
では、脳内将棋盤で読むのと符号読みとではどのくらいスピードが違うのかというと、例えるならコンピュータの情報処理速度と似ています。
脳内将棋盤は”映像”または”画像”ですが、符号は”文字”です。
キロバイトやメガバイトのようなコンピュータ的容量に置き換えてみると理解しやすいのですが、映像と文字だと明らかに映像のほうが容量が大きく処理スピードも遅くなってしまいますよね。
一方、文字だと容量は軽く、処理スピードは映像処理よりもはるかに早いですよね。
人間の脳とコンピュータはよく似ており、映像処理または画像処理ではなく、テキスト処理なので脳内将棋盤よりも符号読みのほうが圧倒的に読む速度が早いわけです。
符号読みと似た感覚
”そろばん”が得意な人は頭の中に”そろばん”をイメージできると言います。
これは将棋でいう脳内将棋盤と似ていますね。
そのため、暗算も頭の中の”脳内そろばん”を使ってやってしまうそうです。
それでは”そろばん”をさらに極めた人ならどうなるのかというと、もはや”そろばん”をイメージすることもなく、瞬時に答えがでてくるそうです。
これは”符号読み”と似ていると思います。
符号読みの弱点
そんな符号読みにも弱点があります。
この局面は藤井(聡)対大橋戦で先手が藤井聡太先生です。
ここまで先手優勢で進んでいましたが、先手はここで”9二飛打”とし、評価は後手のほうに傾いてしまいました。
この局面ではおそらく9二龍としたかったんだと推測されています。
これが符号読みの弱点で、駒台に駒がある場合は”指す”のか”打つ”のかが曖昧なのです。
別の対局でも”2二銀”とすればいいところを”2二銀打”としてしまったりと、符号読みの弱点が対局にも表れることがあります。
対局以外では藤井先生は詰将棋解答選手権でも”打”と書いてしまったため減点されていたこともあります。
なので、最後に脳内将棋盤を使って確認するようになったのだと思います。