【三浦弘行】元祖千日手王と呼ばれたプロ棋士の汚い千日手戦術を解説

千日手王三浦弘行

千日手は一つの芸術。そこに将棋の奥深さがある。」by 加藤一二三九段
千日手と言えば永瀬拓矢先生を思い浮かべるかもしれませんが、元祖千日手王は三浦弘之九段なんです。
先手番でも先手番を嫌わない棋士だった三浦弘行九段。
この記事では藤井猛九段の証言を元に三浦九段の千日手戦術を解説しています。

 

元祖千日手王・三浦弘行

千日手王と言えば永瀬拓矢ですが、元祖千日王と称されたのは三浦弘行です。

昔の三浦は先手番でも千日手になるのを嫌わない珍しい棋士でした。

先手番で千日手になると後手番になって指し直しなので普通はしません。
先手番で千日手をしてくるのは将棋の価値観が少しズレているというか、将棋に真摯に取り組んでいる人達からすると少し苛立たしいことでもありました。

そのため、先手番で千日手をしてくる三浦は評判が悪かったそうです。

なぜ三浦は千日手を嫌っていなかったのかというと、先手になった三浦は早指しでどんどん指します。
対する後手は一手一手に最善の手を探求し、時間をかけて指してきます。それがプロ棋士というものです。

そうすると、先手と後手との間に大きな時間の差が生まれてしまいます。

こうなってしまえば、千日手で後手になろうが、持ち時間が多いので、指し直し局で勝ちやすいという理屈でした。

これは嫌われますね。

 

藤井猛戦で千日手

以下は藤井猛九段の証言です。

ある日、先手が三浦弘行、後手が藤井猛の対局がありました。

この対局で、三浦は持ち時間をあまり使わずに指し、藤井は時間を使って考えて指していました。

手数が進むにつれて、両対局者の持ち時間の差はどんどん大きくなっていき、2時間ぐらいの差がつくと、三浦は千日手を狙ってきたといいます。

千日手を嫌わないどころか、千日手を狙ってくる三浦弘行。

持ち時間がない藤井猛は千日手指し直し局になったら不利なのがわかっているため、千日手を打開せざるを得ず、そのまま負けてしまったそうです。

このことを後年、大盤解説会で三浦の目の前で藤井猛は話しました。

「あれ、汚い戦術だよね」
「ああいう時の心境どうなの?」
「勝ってもうれしくないでしょ?」

と三浦に直接抗議。

言われた三浦弘之は気まずそうに苦笑いしていました。

 

佐藤康光戦で千日手

以下も藤井猛の証言です。

この対局でも先手番の三浦は早指しで飛ばし、対戦相手の佐藤康光は時間を使いながら指していました。

ある程度、持ち時間に差がついたのを見計らった三浦はここでも千日手を狙いにいきます。

しかし、漢・佐藤康光は一手損をしながら千日手を打開しに行ったそうです。

以下がその時の部分図で後手の佐藤康光が”3二の玉”を”2二玉”とせずにわざわざ”2三玉”としてから”2二玉”としたそうです。

3二の玉

3二の玉

藤井猛「あれ、抗議なんですよ」
三浦弘行「…」
藤井猛「(千日手で)佐藤さんが先手になって一手得するから、そんな一手いりませんと抗議してるんですよ」
藤井猛「それで佐藤勝ちなんだから、かっこいいでしょ?」
会場「おー!」
藤井猛「(三浦)かっこ悪い」
三浦弘行「…」

三浦弘行「言いたいことは色々あるが、そんな単純な話ではない」

 

羽生善治にも千日手

三浦対羽生戦でのこと。

どちらが先手だった詳細は不明ですが、この対局は千日手になりました。

千日手になったので、指し直し局開始まで休憩となります。

その時、対局室から出て行く羽生は鬼のような形相だったといいます。

これが千日手に対する怒りだったのかは定かではありませんが、納得いかない何かがあったことは間違いないでしょう。

その指し直し局では羽生の勝ちになっています。

ちなみに感想戦ではいつも羽生に戻っていたそうです。

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