【電王戦FINALまとめ】3勝2負で初のプロ棋士側の勝利!その内容は角不成やハメ手だった…

電王戦FINAL

「コンピュータに敗れようとも、人間に知性がある限りチェスも将棋も続いていく。知性の闘いは揺るがない」
ガルリ・カスパロフ

5対5の団体戦はこれで最後ということで”電王戦FINAL”が2015年に行われ、人間側の3勝2負で初めてコンピュータに勝ち越すことができました。
ロボットアームも”電王手くん”から進化した”電王手さん”が代指しを務めることに。
21手で終局など、なにかと話題を呼んだ電王戦FINALのまとめ記事です。

電王戦FINALのルール

  • 持ち時間:5時間。切れたら60秒将棋
  • 将棋ソフトの貸し出し有り
  • 将棋ソフトのバージョンアップは禁止
  • ハードウェアの統一(第3回将棋電王戦で使用されたハードと性能はほとんど同じ)

ルール自体は第三回将棋電王戦とほぼ同じです。
電王戦FINALで出場する将棋ソフトも前回同様将棋電王トーナメントの上位5位。

【将棋電王トーナメントの結果】

  • 1位:AWAKE
  • 2位:ponanza
  • 3位:やねうら王
  • 4位:Selene
  • 5位:Apery

【プロ棋士側の出場棋士】

  • 斎藤慎太郎
  • 永瀬拓矢
  • 稲葉陽
  • 村山慈明
  • 阿久津主税

電王戦FINALで振り駒をしたのはチェスの元世界チャンピオンであるガルリ・カスパロフで、人間側が3局先手を持つことになりました。

 

【第1局】斎藤慎太郎 vs Apery

  • 先手:斎藤慎太郎 五段(当時)
  • 後手:Apery(平岡 拓也)
  • 戦型:後手四間飛車
  • 対局場:二条城(京都)

115手で斎藤の勝利。

この将棋は両者、囲いが完成する前に開戦し、角交換後、先手が2筋を突破して優勢を築きました。

最後はAperyの王手ラッシュを受け切って、斎藤慎太郎五段が勝利。
投了図の評価値は先手の9999。詰んでいることを意味しています。

投了図

投了図

「今日は完全に力負けで、斎藤五段が凄かったということを分かっていただきたいです」
平岡拓也

斎藤慎太郎五段は、練習対局で最後まで指した将棋は100、200局程度。序盤の30手40手までは400から500局ぐらい指した。とのことでした。

 

【第2局】永瀬拓矢 vs Selene

  • 先手:Selene(西海枝昌彦)
  • 後手:永瀬拓矢 六段(当時)
  • 戦型:相掛かり
  • 対局場:高知城(高知)

89手で永瀬の勝利。

永瀬六段の”2七角不成り”の王手に対してSeleneが自身の王手を放置して”2二銀”と指したため、先手Seleneの王手放置による反則負けとなりました。

2七角不成り

2七角不成りの局面

Seleneは”2七角不成り”と指されたあと停止してしまいました。
永瀬六段自身はこのバグを知っていたとのことで、関係者達が慌てているのを見て「放っとくと投了しますよ」と対局中に発言しています。

ちなみに8七角不成りの局面では永瀬優勢。
コンピュータの評価値も永瀬六段の+1000ぐらいになっていました。

電王戦で人間側が後手番で勝利した唯一の将棋になりました。

「あのまま続けていてもSeleneが負けていたということで、悔いはありません。
西海枝昌彦

「Seleneとの練習将棋での通算勝率は1割程度だったと思います。ただ、実戦でその1割を引くことは可能だと思いました。」
永瀬拓矢

 

【第3局】稲葉陽 vs やねうら王

  • 先手:稲葉陽 七段(当時)
  • 後手:やねうら王(磯崎元洋)
  • 戦型:横歩取り
  • 対局場:函館・五稜郭(北海道)

116手でやねうら王の勝利。

序盤はやや先手有利だったが、中盤で優勢を築いた”やねうら王”がそのまま押し切り稲葉七段の投了となりました。

投了図

投了図

「まだ勝ったという実感はまったくないのですが、100パーセント負けだと思っていたので、負けたときのセリフしか用意していなかったので何をいっていいか」
磯崎元洋

夕食休憩中に「これから負けしかない戦いが始まる…」とツイートしていたほど開発者の磯崎元洋氏は本気で負けを覚悟していたと思われます。

しかし、実際はやねうら王の完勝と言っていい将棋でした。

「心の弱さと相手のほうの読みが上回っていたので完全に力負けです」
稲葉陽

 

【第4局】村山慈明 vs ponanza

  • 先手:ponanza(山本一成)
  • 後手:村山慈明 七段
  • 戦型:相横歩取り
  • 対局場:薬師寺(奈良)

97手でponanzaの勝利。

先手のponanzaは初手に7八金と指して周囲を驚かせたが、その後は村山七段の誘導で相横歩取りの展開に。

初手7八金

初手7八金としたponanza

電王戦の小手試し企画も含めてponanzaの強さが際立ったシリーズでした。

「一局を通じていけると思ったところはなく、完敗です」
村山慈明

「相横歩取りは激しい展開もあり、まったく力を出さずに負けることもあったので、勝てたことは嬉しいです。」
山本一成

 

【第5局】阿久津主税 vs AWAKE

  • 先手:阿久津主税八段
  • 後手:AWAKE(巨瀬亮一)
  • 戦型:先手四間飛車
  • 対局場:東京将棋会館

21手で阿久津の勝利。

わずか21手、対局開始から49分という短時間で終局したこの対局では、いわゆるハメ手を阿久津八段が使用したことで話題になりました。

この時、使ったハメ手とはコンピュータ相手にのみ有効なもので、あえて隙を作り”2八角”とコンピュータに打たせるもの。

2八角

2八角と打った局面

このあと、手順は長いが、打った角が取られてしまい不利になるため、先手の”1六香”を見てAWAKEの開発者である巨瀬亮一氏が投了を宣言しました。

このコンピュータ用のハメ手は『電王AWAKEに勝てたら100万円!』というイベントでアマチュア棋士が指したもので阿久津八段も練習将棋で試して、確認していたそうです。

「事前に同じ形でアマチュア相手にハメられた形でしたので、そういう将棋をプロの方がされるのは残念です」
「既知のハメ手だったので、それをプロ棋士が指してしまうのは、プロの存在を脅かしてしまうと思っています」
巨瀬亮一

「普段指していない戦法だが、団体戦ということもあり一番勝率の高い形を選ぶべきだと思った」
阿久津主税

 

電王戦FINALの対戦結果

プロ棋士側の3勝2負

第1局 斎藤慎太郎○ Apery●
第2局 永瀬拓矢○ Selene●
第3局 稲葉陽● やねうら王〇
第4局 村山慈明● ponanza〇
第5局 阿久津主税○ AWAKE●

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