羽生善治

【羽生 is back】2022年どうして羽生は復活できたのか?【羽生対藤井の王将戦展望】

14勝24負

2021年度、羽生善治先生は初めて負け越し、通算勝率7割の羽生先生が、2021年度は、勝率3割6分という絶不調に陥りました。

「羽生も衰えたな」

「もう年だな」

「通算100期は無理かあ」

こんな声も聞こえてきた2021年を払拭するかのように2022年、なんと見事復活を果たした羽生先生の復活劇と復活できた理由を解説している記事です。

2021年の不調の原因

将棋界の伝説羽生善治が初めて負け越した衝撃は”九段”という段位を名乗った時と匹敵します。

どうして負け越したのか、原因は定かではありませんが、おそらく昨今のAIを活用した将棋の研究にあると思います。

羽生先生はAIの評価値をそこまで信用していないことが伺えるコメントが以下。

「今年一番強い将棋ソフトでも、来年一番強い将棋ソフトに7~8割負けるんです。だから必ずしもAIが示す手も評価値も正解とは限らない」by羽生善治

こう発言していました。

そして、AIを用いた研究が主流になってからずっと、疑問を抱き、AIに対抗してきたのも羽生先生でした。

しかし、2021年度の成績を見れば、どうやら痛い目を見たようです。

それまでも羽生先生は遅れながらも、AIを用いた研究をしていたとは思いますが、どうやら、その研究方法を少し変えて、上手くいったのが2022年度のようです。

 

羽生九段はなぜ復活できたのか?

羽生先生の復活の原動力となったのが、後手番での横歩取り戦法です。

2022年昨今の現在のプロの将棋では後手番での横歩取り戦法はあまり見かけません。

理由はAIを用いた将棋研究にあります。

将棋AIによると、後手番での横歩取り戦法は、即評価値にマイナスが表示されるからです。

それは振り飛車にした瞬間に評価値が若干マイナスに振れるような微々たるものですが、シビアなプロの世界では、少しの差が勝敗を決することも少なくありません。

そのため、多くのプロ棋士は後手番での横歩取り戦法を避けるようになったのでした。

しかし、羽生先生はあえてそこにスポットライトを当てました。

下図は2022年度の王将リーグの羽生(後手)対渡辺(先手)戦です。

この時、後手を持った羽生先生は横歩取り戦法を取りました。

そして、前述したようにAIによる後手の評価値は少々低く、この局面では後手の羽生の44%先手渡辺56%となっています。

しかし、ここから数手で特別いい手も悪い手もお互い指していないのに関わらず評価値はなぜかお互い50%になり、やがて後手のほうに傾きます。

そして、羽生先生はこの対局に勝ち、後に王将リーグ全勝を達成しました。

王将リーグでは、他にも対広瀬戦、対近藤戦でも同じように後手番にも関わらず横歩取りを採用している羽生先生。

AIの評価値では対渡辺戦の時と同じように序盤は羽生先生のやや劣勢で進むのですが、結局、中盤に入る前に50%50%まで戻し。見事勝利を納めています。

どうしてこのような結果になったのかを解説すると。

まず第一に後手番で横歩取り戦法をする者がいなくなったので、対戦相手が研究していなかったこと、もしくは研究が浅かったことがあげられます。

それにAIが評価値で先手に若干有利と判定しているため、普通にやれば勝てると考えるのが当然で、先手有利という結論で研究は打ち切られている可能性もあります。

しかし、結果は後手番を持った羽生九段の勝ちなんです。

先程の対渡辺戦の局面に戻りますが、ここから先手が上手く指し切るのはかなり難しいんですね。

羽生先生自身もおそらく。AIの評価値的には後手のやや不利だと知っていると思われます。
それでも羽生先生は、不利だとされている局面に自ら踏み込んで盤上で相手に問いかけます。

『今あなたが有利ですけど、ここからどう指すかわかりますか?』

そして、この結果が、A級順位戦よりもレベルが高いと言われる王将リーグの6戦6勝という快挙です。

果たして、王将戦で現役最強の藤井聡太先生を相手に後手番での横歩取り戦法が通用するかどうか、見ものですね。

羽生先生が今、相手にしているのは人であり、かつAIです。

相手の得意戦法にあえて、踏み込むのが羽生先生の将棋であり、AIが不利だと言う局面に、踏み込むのも羽生先生らしい将棋ですね。

運命は勇者に微笑むんですね。

 

藤井王将対羽生九段 王将戦の展望

王将リーグを全勝したことにより、羽生先生は王将のタイトルを懸けてタイトルホルダーである藤井聡太に挑みます。

これまで藤井聡太先生はタイトル戦の番勝負で負けたことがありません。

しかし、今回の王将戦はこれまでのタイトル戦とは違います。

藤井聡太先生ははじめてアウェイでの戦いを強いられることが予想されます。

長年の将棋ファンを始め、関係者各位皆、多くの人達が心の内では羽生先生の勝利を望んでいると思われるからです。

応援比は羽生先生の7対3いや8対2ともなるでしょう。

そんな空気の中で藤井聡太先生がどういう将棋を指すか、そして、羽生先生の後手番横歩取り戦法への答えに注目の七番勝負です。

そして、羽生先生は藤井聡太先生が得意とする角換わりの将棋を受けて立つのかどうか、勝敗はもちろん戦型にも要注目です。

ちなみに、全盛期の羽生先生と、全盛期の藤井聡太先生が戦ったらという、たらればの推測がよくありますが、個人的な見解は、10局だったら、8勝2負で藤井勝ち。

しかし、100局だったら60勝40敗で羽生勝ちになると思います。

羽生善治とはそういう棋士なのです。

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