2008年5月8日名人戦第三局での森内俊之vs羽生善治戦にて大ポカがありました。
大ポカをしたのは当時名人だった森内俊之です。
自分のミスに気付いた森内はビクっと30cmも飛び上がりました。
勝勢で進んでいたこの将棋はその後も引きずるようにミスが続き森内名人の負北となりました。
森内少年と羽生少年
当時の森内俊之少年は”小田急将棋まつり”の小学生大会の予選2回戦で、同じ小学校4年生の羽生善治少年と初めて対戦し、ツノ銀中飛車で勝利します。
しかし、3日後に行われた本戦の準決勝で再戦し、今度は完敗してしまいました。
その時の森内少年の感想が以下。
森内少年「羽生くんって子強いな、プロになったらもっと強い人がいっぱいいるんだろうな…」
その後もたびたび対戦する両者。
中学生の森内少年「羽生君強いなぁ奨励会にはもっと強い人がいっぱいいるんだろうなぁ…」
奨励会の森内青年「羽生君強いなぁプロにはもっと強い人がいっぱいいるんだろうなぁ…」
プロ棋士の森内四段「羽生君強いなぁタイトルホルダーにはもっと強い人がいっぱいいるんだろうなぁ…」
タイトル保持者森内俊之「羽生君強いなぁ…」
結論。
森内「羽生くんが1番強かった…」
森内俊之先生と羽生善治先生は2003年から2016年まで、名人位を2人で独占していました。
その13年間は森内先生か羽生先生しか名人位を名乗っていなかったのです。
そんなライバルである羽生森内戦の歴史に残る大ポカをご紹介します。
大ポカで飛び上がる森内俊之
2008年5月8日、名人戦第三局
- 先手:森内俊之 名人(当時)
- 後手:羽生善治 二冠(当時)
- 持ち時間:9時間
- 戦型:相掛かり
名人戦を第二局まで終えて、両者1勝1負で迎えた第三局。
戦型は相掛かりになり、先手の森内先生勝勢で進んだ141手目。
先手の森内先生は”9八銀”と打ち”飛車”を捕獲しに行きました。
しかし、これが大悪手でした。
後手の羽生先生は”8六桂”と桂馬を跳ねました。
この手は桂馬が跳ねることによって、先手玉に飛車の横利きによる王手がかかっています。
そして、都合よく、先ほど打った先手の銀に桂馬が利いています。
”王手銀取り”が先手玉にかかり、この手を見た森内先生は文字通り飛び上がりました。
深浦先生曰く「30cmぐらい飛び上がった」とのことです。
打った銀がそのまま取られてしまう完全なるポカですからね。
みんなびっくりします。
しかも名人戦です。
森内先生は頭に手をやり、動揺した様子。
その後、森内玉は上部に逃げたものの”9八桂成り”とされて141手目に打った”銀”は普通に取られてしまいました。
勝勢で進んでいた先手の森内先生でしたが、この大ポカにより流れが変わり、第三局を逆転負けしてしまいました。
そして、このシリーズの名人戦も2勝4負で防衛失敗となり、羽生先生に敗れています。