屋敷伸之九段と言えば、中原誠先生を破り、当時の最年少記録でタイトルを獲得した天才棋士。
そんな、天才棋士・屋敷伸之先生の奨励会時代の大ポカをご紹介します。
指した瞬間にミスだと気付いて、目の前が真っ暗になったという屋敷先生。
どのようなポカだったのでしょうか。
屋敷伸之2級の大ポカ
屋敷伸之先生と言えば、史上最速でプロになった棋士でもあり、奨励会の在籍期間はなんと、たったの2年10ヶ月。
奨励会をあっという間に駆け上がりプロになった屋敷先生の奨励会時代の大ポカがこちらです。
先手が当時の屋敷伸之2級です。
この局面には後手玉に詰みがあり、しかも先手番です。
”3五桂”からの詰みがあります。
しかし、当時の屋敷2級はなにを思ったか”3五角”と打ってしまいました。
これが、語り継がれるほどの大ポカで、先手必勝だった局面が、後手必勝の局面に変わってしまいました。
屋敷九段曰く。
「指してすぐにわかり、一瞬にして目の前が闇になりました」
と当時を振り返っています。
実は、この時、屋敷先生は桂馬を打つつもりでいたのに、間違えて角を打ってしまったのだそうで…。
本当にもったいない。
とんでもないミスをした時に、目の前が真っ暗になるのは将棋を指している方ならなんとなくわかるかもしれません。
ネット将棋で言うところのクリックミスのようなものでしょうか。
まさに指運。駒を持ち間違えてしまったんですね。
このあとの手順は…。
4七と、1五桂、3四玉、2二龍、3九角
この3九角から先手玉は詰みです。
こうして、奨励会2級時代の屋敷先生は、大ポカをして、大逆転負けを喫してしまいました。
以下、屋敷伸之先生のコメント
「これだけのショックをどういった言葉で表現すればいいのでしょう。狭いスタジオの中でマーシャルアンプをフルボリュームにし、早くて重いギターリフをオルタネイト・ピッキングで16小節聞かされたような気分…なんて言っても、分かりませんよね。普通…。」
わかりません。
というか…もう…わけわからない…。
相当ショックだったことでしょう。
この敗北がなければ、もっと早く奨励会を抜け、プロ入りしていたかもしれない屋敷伸之先生でした。
※マーシャルアンプとはイギリスのマーシャル社製のギターのアンプ
※ギターリフとはギターのリフレインで、ギターで同じフレーズをくり返す奏法
※オルタネイトピッキングとは、ダウンピッキング(弦に対してピックを上から下に降ろすことで音を出すこと)と、アップピッキング(弦に対してピックを下から上にあげることで音を出すこと)を交互に繰り返すこと